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洪水災害での泥かきボランティア活動体験会

公開日:2021年09月30日 最終更新日:2023年01月13日
登録元:「豊田災害VCo連絡会
タイトル
洪水災害での泥かきボランティア活動体験会

詳細

9月25日(土)豊田市災害ボランティアコーディネーターを対象にした「洪水災害での泥かきボランティア活動体験会」を愛知県旭高原自然の家で開催しました。

災害ボランティアコーディネーターは、災害時に開設・運営される「災害ボランティアセンター」において、被災地の復旧に立ち上がろうとする被災者と、その自立を支援する災害ボランティアを結びつける役割を担っています。

近年、日本各地で大雨による洪水災害が頻発しています。豊田市社会福祉協議会が開催する「災害ボランティアセンター設営・運営訓練」でも、洪水災害を背景状況としています。

洪水災害に特徴的な「泥かき災害ボランティア活動」の模擬体験を通して得た知識と感覚を、今後の災害ボランティアセンター運営に活かしていきたいと思います。


参加者
・豊田災害ボランティアコーディネーター連絡会 13人
・豊田市災害ボランティアコーディネーター養成講座受講生1人 
・旭GSボランティア 4人
・一般 1人

内容 
第1部 洪水災害での泥かきボランティア体験
・土のう袋に泥土を詰める
・泥土が詰まった土のう袋を運ぶ
・衣服と道具の清掃/消毒

第2部 ボランティアの自前生活体験
・持参食材と食器で昼ごはんを食べる
(お湯の配給あり/お弁当でもよい)
・ゴミを持ち帰る

<ボランティアセンター開設>
セクション
①事前オリエンテーション
②受付・保険
③活動紹介・マッチング
④活動オリエンテーション
 ・送り出し
⑤-1 資機材貸出
⑤-2 資機材返却・手指洗浄
⑥活動報告・休憩

トレーラーハウスを中心に
設営展開しました。

左側の軽トラックは、お湯を沸かしたりする「キッチンカー」です。

<スタッフミーティング>

センター長(豊田災害ボランティアコーディネーター連絡会長)あいさつ>

コロナ禍ではありますが、いざという時にも安全に災害ボランティア活動をするために→

←泥かき体験を通じて「何ができるか、何をすべきか」を考えましょう!

土嚢袋の扱い方レクチャー

袋の口元にある紐通しから出ている縛り紐の端が結び合わされているか確認する(紐が抜けると使い物にならない)。

二人で行う場合は、ひとりが袋の口を外側に巻き込んで握って袋を支える。
土を袋の深さの半分くらい入る。この量で約20Kg。人が(繰り返し)運ぶことができる適量となる。

次に、親指の先が下向きになるようにして、袋の口元を握り込む。
親指をのばしたままで、紐を親指も含めて3巻する。その後、親指を引き抜くと隙間ができるので、そこに上方から紐を差し通す。

差し通した紐を引き締める。

紐を持ってぶら下げても大丈夫!
ただし、この縛り方は、土嚢袋を開封しない場合に用いる。

①事前オリエンテーション
役割:被災状況、災害ボランティアセンターの一連の流れを理解していただくとともに、活動者にボランティア活動の心構えを理解していただき、被災された方等への支援目的を共通認識していただく。

『今回は、大雨により土砂災害と洪水災害が同時に起きたために、被災居住地に堆積した土砂を除去して、生活の復旧を支援します。』

『岩混じりの活動地と土砂の活動地があります。』

②受付・保険
役割:ボランティア活動希望者の把握と、制限条件との整合、活動中に知りえた個人情報の保護への同意をとる。また、ボランティア保険への加入を確実にする。

「検温」の実施、「ボランティア保険」加入の確認、「胸に貼る名札」の作成、「ボランティア活動受付票」の記入、「活動選択用付箋」の記入を行いました。今回は実務があるため、「ボランティア保険」加入は必須で、「ボランティア活動受付票」の各項目には事実を書いてもらいました。

新型コロナ感染拡大防止のため、「ボランティア活動受付票」は、14日間保管し、その後裁断廃棄します。

③活動紹介・マッチング
役割:被災者の要望(ニーズ)とボランティア活動者の希望をつなぐ。
必要とするボランティア人数と送り出し時限とを見ながら、活動希望者をチーム化する。

「活動掲示票」を掲示しました。
『・活動場所・活動時間・出発時間・活動内容・募集人数』が記載されています。

ボランティアを誘導して「活動掲示票」を見てもらい、活動したい案件に「活動選択用付箋」を貼ってもらいました。

④活動オリエンテーション
  ・送り出し
役割:活動者に被災された方々への配慮や依頼者の思い、活動上の注意点等について理解していただく。

3人の所要人数が揃ったので、活動地点と活動内容の詳細を「ボランティア紹介票」を用いて説明しました。

「ボランティア紹介票」

例『A地点で流入した土砂をかきとり、土嚢6袋分をC地点に運ぶ』

⑤-1 資機材貸出
役割:活動内容を安全かつ適切に行えるように、活動者に対して、使用する資機材の選択(種類、数)を助言するとともに、保有している資機材を保全する。

資機材として用意したもの
・シャベル
・スコップ大、スコップ小
・デッキブラシ
・プラスチック段ボール
・スポンジ
・土嚢袋保持用大径パイプ
・ほうき
・ばけつ
・草刈り鎌
・移植ごて
・バール

・一輪車(グループに1台)
・土嚢袋(グループに6袋)

(数量制限)のないものは自由に選択してもらいました。

スコップ大、スコップ小、草刈り鎌、土嚢袋保持用大径パイプを選択しました。(この後、シャベルとプラスチック段ボールを追加)

スコップ小、シャベル、土嚢袋保持用大径パイプを選択しました。(この後、プラスチック段ボールを追加)

シャベル、土嚢袋保持用大径パイプ、プラスチック段ボールを選択しました。

<活動へ出発>

地図を見ながらB地点に向けて出かけていきました。

行ってらっしゃい!

<活動>

土嚢袋を土嚢袋保持用大径パイプの中に入れて、袋の口をパイプに折り返してかぶせました。

スコップとシャベルを使って土砂を掘り出していきました。

シャベルではすぐに掘り出せましたが、スコップの方は思うように掘れませんでした。

スコップの幅が広いので、土砂の一部がこぼれてしまいました。

開口部のところまで土を入れたので、袋の口を縛りました。

重いです~!

一輪車に3袋を乗せて、斜面を下りました。

C地点に向けて運んでいきました。

最初にC地点に到着。土嚢の縛った部分を下に折り込んで、ブルーシートの上に置きます。次の土嚢も同じように形を整えて、先に置いた土嚢と半分重ねながら積み置いていきました。

次の土嚢を受け取りに戻りました。

A地点に戻ると、次の3つが出来上がっていて、すぐに積み込みです。
袋詰めしたところから積み込みの場所まで、プラスチック段ボールに土嚢を乗せて、地面の上を引きずって持ってきました。こんな使い方もあるのですね。

しっかりと足でシャベルを地面に突き刺して、土砂を掘り出しています。

プラスチック段ボール(内部材の波すじに沿っていくつかの折り目が付けてある)を巻き込んで土嚢袋の中に差し込み、巻きを戻して袋を内側から張り出すことで作ったところにザザっと土砂を投入しました。

約半分の深さまで土砂が投入できたので、プラスチック段ボールを引き抜きました。

袋の口を縛りました。

6袋を一輪車でC地点に運びました。押す力だけでは大変なので、ロープを使って、前方から引きました。

先に積まれていた土嚢の状態と同じように積みました。

こちらでも、土嚢袋保持用大径パイプを使用しています。

シャベルを2丁使ってサクサクと土砂を掘り進めていました。

最後の土嚢の口元を縛っています。

B地点からは砂利道の登りと下り、さらに舗装道路ですが、長い坂道を登らなければなりません。

一輪車の前フレームにかけたロープを使って三人で坂道を登っていきました。

C地点に到着。土嚢を次々と積み並べていきました。

最後の活動者がC地点に到着。

整えていきます。

土嚢の堤ができました。

⑤-2 資機材返却・手指洗浄
役割:返却された資機材を次の活動に使えるように、返却数量を確認するとともに、活動にあたって不足した資機材の状況を把握する。

スコップについた泥を洗っています。他の道具も同じように洗ってもらいました。

資機材貸出場所に戻して乾かしています。

一輪車も洗って乾かしました。

手指も洗ってもらいました。

ポリタンクと手押しポンプで節水です。

⑥活動報告
活動者全員が帰着したかどうかを確認し、負傷者や体調不良者がいれば対応する。
活動の進捗を確認し、今後も活動が必要かどうかを聞き取り、ニーズ受付につなぐ。

活動者からの聞き取り中。

報告が終わった活動者は、しばし休憩してもらいました。
お疲れ様でした。

<昼食>
スタッフ、活動者も持参したお弁当を昼食にしました。

軽トラックの荷台をキッチンスペースにしています。

カセットコンロを使って、鍋でお湯を沸かし、配給しました。

カップラーメンとアルファ化米パック

こちらもカップラーメン

レトルトパウチのお粥

アルファ化米パックと味付きのインスタントラーメン(ラーメンはお米にちょい足しです)

カップ焼きそばとスープ
(カップ焼きそばの戻し湯をスープのお湯につかっています。捨てるお湯はありません)

ジャガイモスナック菓子にお湯を注いで、マヨネーズを和えると、立派な「ポテトサラダ」になりました。

<振り返り>

参加者の声を集約すると・・・

今回は一人当たり2個の土嚢を作っただけでも疲れました。これをボランティア活動で一日続けるには、スピードと休憩の取り方が大切。活動オリエンテーションでしっかりと伝える必要があると思いました。

洪水災害と土砂災害、日向と日陰、平地と床下、着工の早い/遅いなど、場所と環境によって対象物の状態や活動の難易度が異なる。経験者が事前(前日)に調査して、道具や人員構成、活動手順などを「活動掲示票」や「ボランティア紹介票」に参考付記しておくと良いと思いました。

途中から資機材に「ロープ」が用意された。これは資機材の返却や活動報告で聞いた困りごとに対応したことで、とても良い対応だと思いました。

入口に立てたピンクの「のぼり」が素敵でした。活動場所の目印になって良いと思います。

<紹介・解説>
今回のメインツールだった「シャベル」と「スコップ」。
その違いと用途について・・・
1954年に制定されたJISA8902「シャベル及びスコップ」では肩に足をかける直線部分があるものを「シャベル」、曲線で足を掛ける部分がないものを「スコップ」としています。
今回用意したものは、JIS規格では全てが「シャベル」となります。
一方、慣用的に、土などを掘るときに使う先の尖ったものを「シャベル」、雪かきなどに使う先の平たいものを「スコップ」と呼ぶこともあります。
ちなみに、蒸気機関車で石炭を投入するときに使うのは「石炭スコップ」と呼ばれ、JIS規格通りに肩が曲線になっていています。そして石炭をすくうために先端は平たくなっています。(右側の写真)

昔に見た先端が平たいものは、どれも肩が曲線になっていたように覚えています。最近になって先端が平たいものでも肩に足もかけられる商品が出てきたようです。
もちろん、流れ込んだ土砂が堆積した場所で、土砂をかき集めるときには先端が平たいものに足を掛けてすくいたくなります。
従って、肩の形状によらず、先端がとがっていて、掘るときに使うものを「シャベル」と呼び、先端が平たくて、すくうときに使うものを「スコップ」と呼ぶのが良さそうです。

JIS規格を尊重するなら
「剣先シャベル/剣シャベル」「平先シャベル/平シャベル」
と呼べば良いかな?
いずれにしても、災害ボランティアセンター内で、道具名称を統一しておく必要があります。

また、先端が平たいもので、幅の異なるものもあります。
使う場所の間口や土嚢袋の口のサイズにあわせて使い分けすると良いです。

洪水災害で床下に流れ込んだ土砂を取り除いた後も処置が続きます。
すくい切れなかった泥や浸み込んだ水気をスポンジで吸い取ります。

その後に、床下に送風機で風を回して乾かします。これは1台だけですが、一軒分になると5~6台必要です。

最後に、乾いたかどうかを「水分計」で計測します。
ボランティア活動でここまでやるというわけではありませんが、洪水災害から復旧するというのは多くの労力がかかるものです。

<最後に>
豊田災害ボランティアコーディネーター連絡会として、初めてのリアルなフィールド活動でした。災害ボランティア活動の実際を体験したことで、災害ボランティアセンターを開設・運営するときに、ボランティア活動


者の困りごとや苦労を思い遣れるようになれると思います。
今回参加できなかった豊田市災害ボランティアコーディネーターの皆さんにも「泥かきボランティア活動」を体験していただけるように、来年度以降も継続


開催していきたいと思います。
また、他の活動にも目を向けて、ボランティア活動体験のメニューを拡大していきますので、ご期待ください!

この情報は、「豊田災害VCo連絡会」により登録されました。

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